40歳からのキャリアチェンジ

20代はエンジニア・PM、30代はWeb系エンジニア向けのキャリアアドバイザー。40代の今はフリーランスで開発含めて色々やってます。技術ネタとしてはRuby/RailsとJavaScript関連あたり

ロングテール—「売れない商品」を宝の山に変える新戦略



今さらロングテールの言葉の説明はいらないかなぁと思う位、すでに知れ渡りつつある言葉だと思いますが、著者の方はこのロングテールの言葉を世に知らしめたワイアード誌の編集長でそのかたによる色々な所でロングテールが見かけられるというようなことが書かれていました。

なるほどなぁと思ったのが
- ロングテール的なビジネスにおいてのコストを極力ゼロに近づける工夫としてのamazonの事例
- ポストテレビ時代の映像
という2つ。

まずコストの方ですが、ロングテール的な考えではコストを限りなくゼロに近づけないと、テールの部分で売り上げがあっても利益は出づらいから、amazonの場合、その商品保管のためのコストってどうなのかなぁって思っていたけど、本書で興味深いことが書かれており
アマゾンの出した結論はオンデマンド印刷だった。本はデジタル・ファイルという理想的な形で保管され、注文が来るとレーザープリンタで印刷されて普通のペーパーバックになる。売れる時になってはじめてデジタル・ファイルが物質に変換されるため、コストは販売数と完璧に連動する。
(P.121から122より)
ということで、テールの部分に該当しそうなニッチな本についてはオンデマンド印刷を利用するそうで、さらに
アマゾンは同じことをなんと映画でもおこなった。DVDのオンデマンド制作を手がけるカスタムフリックスを買収したのである。いまやアマゾンはスペースをとらずコストもかからない在庫を持つ可能性がある。
(P.122より)
ということで本に限らずDVDでもオンデマンドで処理をさせているそうです。

これらのことは、日本でも行われているかどうかはわからないですが、いづれにしても、こういった取り組みをしたり、これ以外にもトイザラスのような企業と提携して、在庫は自分達で持たず商品を売るスペースだけを提供したりして、自分達の在庫にかかるコストをゼロにしつつ、テールを伸ばす工夫をしているのですね。

でもう1つの方ですが、これは12章の無数のスクリーン - ポスト・テレビ時代の映像はどうなるというところで触れられていて
30分という時間枠はテレビの国の新聞のようあんものじゃなかろうか。狭い流通が生んだこのような形式は、もう衰退していく。利便性と娯楽の面では短いコンテンツが求められ、奥深さと満足度の面では長いコンテンツが求められるようになる。誰かが勝手に決めた中間の長さはもうおしまいだ。(P.254より)
とあったけど、これを読んですぐに思いついたのが、日本のプロ野球の巨人の地上波の放送のやり方。

巨人の試合をTVで見たい人からすると、試合の途中から放送が始まり、しかも最後まで放映しないから満足いくものではないだろうし、一方で、巨人の試合に全く興味がない人からするとその時間帯で放映していた通常の番組が放映されないことで、不満に感じるから、視聴者側の視点で見た場合に、誰にとっても中途半端な感じで満足の行く者ではないのではないかと。

スカパーやインターネット中継などをつかって中継しているやり方は上記引用の「奥深さと満足度の面」を満たす部類に入るのかなぁと思い、そういう場合には長いコンテンツでも受け入れられるのだろうから、そういった考えをうまく取り入れてみてもよいのかもしれませんね。

ロングテール―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略



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