リコール学の法則
起業不祥事が出る度に、ちょっと過度に騒ぎ過ぎなんじゃないかなぁと、個人的には思っているのですが、失敗学で有名な畑村さんが書かれたリコール学の法則でこんなことが書かれていました。
人身事故が起こるような危険性のある工業製品のリコールと、賞味期限切れのものを売ったという類の食品リコールが同列で扱われるのはおかしいし、そうした社会は不健全だと、私は考えている。
こうした傾向は、世の中全体が形式主義に流れているということにほかならない。形式主義の上に乗っかりそこから少しでも外れたものをヒステリックに批判することに終始するのは、天に唾するようなもの。やがては、その形式主義は翻って自分の首を絞めることになる。
リコール学の法則 P.118より
このリコール学では、リコールは決して悪ではなく、責任追及をするのではなく、同じ過ちを繰り返さず次の技術革新につなげることが大切であると説かれています。
リコールの仕組みが整っている自動車業界については、日本とアメリカとではそれぞれの国においての車との関わり方の違いがあるとはいえ、アメリカではリコールによって品質が良くなり、ユーザから信頼が得られるというポジティブな捉え方がされているそうですし、”人間のミスの見本市”と本書で書かれていた自動車の生産現場の教訓を他の業界でも十分に活かせるようにも感じられました。
事実、
- 毎日繰り返される人手作業
- 回数が多い
- 作業密度が濃い
という病院での事故の多い作業というのは、本質的に生産現場でのそれと共通するものということが書かれているし、これは病院に限らず、自分の今の仕事であるサービス業でも、同様のことが起こるように思っています。
ページ数をメモし忘れたのですが、メーカーとユーザとそれぞれの言い分をちゃんとお互いにぶつけることが大切というようなことが書かれていたのですが、インターネットの登場やブログの定着により、ユーザ側からのポジティブ/ネガティブなフィードバックが得られやすくなっていると思いますが、失敗があったとしても、ありきたりだけど、こういうフィードバックをきちんと組織内部に取り込み、教訓として次に活かす姿勢が大切なんだと改めてこの本を読んで思いました。
おすすめ度の平均:
リコールに対する意識改革リコールされた車は高いか、安いか