法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる
光文社
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法人税は会社の儲けに対して約40%の税率っていうのは、なんとなく知っていたことですが、この本の最後に著者が例に出されてましたが、
- 積水ハウスは100億円の税引前利益に対して55億円の法人税
- 大和ハウス工業は114億円の税引前利益に対して131億円の法人税 (*1)
というようなことが生じるようですが、それっていうのも会社の経費の中で、法人税の計算上では経費として認められない支出があるからだそうですが、それにしてもこの数字だけ見るとかなり理不尽な感じがしますが、会社の経費計算をする立場の人と税を徴収する人との間の見解の差といってしまえばそれまでかもしれません。
見解の違いと言えば、宗教法人がラブホ経営していて、休憩料をお布施扱いにして、それを所得隠しとみなされた例(*2)があるそうですが、宗教法人の言い分としては、休憩料のうち一定金額は喜捨金(お布施のこと?)で、これは規定により税がかからないという主張をしているそうですが、宿泊する人全員が休憩料のうち一定の金額を喜捨金として払っている認識がどこまであるのかっていうことによって、税の対象になるかどうか変わってくるそうです。
こういう見解の違いを生まないような制度を作るのは現実的に難しいのかもしれないけど、こういう法人税の税制について詳しい人がいる会社と、そうでない会社とでは、税負担にかなりの格差が生じるだろうから、もっとシンプルな仕組みに出来ないものなのかなぁーというのがこの本を読み終えた率直な感想です。
こういう複雑な税制度に抜け穴があるんじゃないかと読みながら漠然と自分は思ったのですが、
税理士が手品師のように税金の負担を軽くしてくれることなどないのです。
そうです。
著者がいう”本当に効果のある節税対策”として以下3点を上げています
- 課税の繰り延べではなく、永久に税負担が軽減する
- 会社が余計な支出をしなくてもよい
- 会社の損益計算書に損失が計上されていない
この3点に照らし合わせると、例えば慰安旅行に出かけるという節税対策は、1.は条件を満たすが、2,3が満たさず、圧縮記帳という方法についても、2,3は条件を満たすが、1の条件を満たさないという状況とのことで、一口に節税対策といっても、効果のあるものというのはかなり限定されているようです。(具体的なものは本書の最後に記載あるので興味ある方はぜひチェックしてみてください)
普通に仕事をしている上では法人税って別に知らなくっても問題無いとはいえ、無駄に法人税を支払わないように出来る人材がいる会社かどうかを見極める上でも、多少は法人税のカラクリっていうのを知っておいても損はないわけなので、そういう意味でのとっかかりの本としては良いのかなと思います。(欲を言えば、この本を読み終えた後に読むべき参考書籍を巻末に記載して欲しかったなぁ
(*1)いづれも、何年度の決算情報か記載無し
(*2) 「宗教法人がホテル休憩料金をお布施として所得隠し」平成21年6月9日 朝日新聞記事