食糧争奪

トウモロコシ、小麦、米、大豆、麦というような作物は、基本的には各国で栽培されて、自国で消費できずに余ったものが、市場に出回るという構図になっているそうで、世界的な不作時に貿易量の安定を維持しようとすると、その価格は、大きく乱高下するそうです。
これに付け加えると、穀物の輸入国と輸出国のそれぞれの顔ぶれが基本的に限られているそうで
前者:アメリカ、カナダ、オーストラリア、南米、中国
後者:日本、韓国、台湾
となっているそうですが、インドのような新興国の出現で輸入国としてのプレーヤーが増えたのと、元々輸出国だった中国が、輸入国側のプレーヤーになったために、元々限られたメンバー同士で穀物の輸出入が行われていた上記の構図が崩れつつあり、しかも輸出国側で、天候不順などで不作になってしまうことで、さらなる打撃をうけることになるみたいです。
この本を読んでふと思ったのですが、今回の日本での食品の値上げについても、少し前に生じたオーストラリアでの大干ばつで小麦市場にかなりの影響を及ぼしていて、今までも過去の在庫を切り崩してしのいできたが、それを上回る需要の増加によって、小麦価格が上がったのかなぁと感じました。
ただ、それ以上に大きな要因となりそうなのが本書の「はじめに」で触れられていた、食糧を取り巻く色々な争奪戦の影響かと思います。
食糧は毎年、水、土壌、太陽エネルギーといったものにより毎年再生可能だったものが、水についても、新興国の工業化が進んでいることにより、農業利用vs工業利用で水の奪い合いという自体を招いていたり、原油価格の高騰で、トウモロコシをつかったエタノール燃料の需要が増加しつつあり、結果、一部穀物が食糧利用vs(原油の代替としての)燃料利用という構図も生まれたりして、再生可能な資源という位置づけがあやうい状況になっているみたいです。
日本は元々資源が豊かではない国なので、化石燃料のような資源だけではなく、食糧資源についてもきちんと考えないといけない状況に実は来ているのでしょうかね。
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