40歳からのキャリアチェンジ

20代はエンジニア・PM、30代はWeb系エンジニア向けのキャリアアドバイザー。40代の今はフリーランスで開発含めて色々やってます。技術ネタとしてはRuby/RailsとJavaScript関連あたり

テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか



今週の連休中に2冊ほど本を読み終えて、うち1冊は以前から読みたかったテレビはインターネットがなぜ嫌いなのかを読み終えました。

インターネットの台頭で、テレビはもうダメなのかなぁと個人的に感じている所もあったのですが、実際の所はどうなのという疑問について、この本はある程度参考になるように思います。

本書でのテレビという定義は、民放のテレビ局という位置づけになっており、その民放のテレビ局を中心にすえつつ以下のような構図について、丁寧に書かれています。

vs インターネット関連企業
優良なコンテンツを確保したいインターネット関連企業に対して、系列を通じてとっても儲かる仕組み(*1)があるのに、著作権処理などのわずらわしい作業をしてまでわざわざ儲かる可能性の低いインターネット関連企業にコンテンツを提供する意味が見いだせない民放

vs 通信業界
客寄せパンダ的に地上波のコンテンツを使って、それをベースにMTVやCNNなどの有料チャンネルにも契約してもらいたい通信業界と、有料チャンネルのようなものが普及することで、地上波コンテンツ自体の視聴率が下がることで、自分たちのビジネスの根底となっている視聴率の価値が下がることを危惧する民放

vs NHK
従来のような新規契約の伸びが期待できず新しい次のメディアに打って出たいNHKに対して、NHKの事業規模が大きくなりすぎて、共存関係が崩れることを危惧する民放

vs 制作会社
自分たちが作ったコンテンツをもっと様々なメディアを通じてビジネスチャンスを拡大したいと考える制作会社に対して、利権にからむところをきっちりと抑えておきテレビ局としての力をきちんと見せつけることで、アメリカで起こったようなこと(*2)にならないように考えている民放

民放テレビ局としては、今まで自分たちで作り上げてきたビジネスモデルがあって、それがあるからこそ、今のような大規模なメディア産業として成長できたのかと思うのですが、上記のようないくつかの対立軸がでてきたことで、そのビジネスモデルにちょっとした変化が生じてきて、それがそれぞれの対立軸で見かけられるようになったのかと思い、これが

「テレビってもうダメなんじゃないの」

という要因になっているようにも感じました。

最後の締めくくりという感じで
政府の打ち出した政策をよく読むと、テレビ用に割り当てられた電波が余ったら、通信サービスに使っていいと書いてある。
〜中略〜
テレビ局は結構たくさん電波を割り当てられているので、使いようによっては、ものすごい収入が得られるようになります。通信と放送の融合は、テレビ局にとって、むちゃくちゃおいしいんです。(P.199より)
という記述があったのですが、実際の所、テレビがダメになるかどうかは、郵政省出身の中村伊知哉さんという方の提言にもあったのですが、すべてはテレビ局がこういうことに気づいて、次の手を打てるかどうかというのにかかっているみたいですね。

(*1)キー局は、全国向けに認知度をアップしたいと考えている大手企業からスポットCMというものを提供して、その見返りに莫大なスポンサー料をもらって潤沢な制作費が得られてつくったコンテンツは地方局を通じて放送されて、その後過去に放送したコンテンツについても、地方局に比較的安く売ることで、細作費をじっくりと回収していく。
地方局も最初にコンテンツを流す時点でキー局から「電波料」という名義で番組を流した対価としてかなりの収入があるそうなのと、昔に放映したコンテンツについても、自分たちで新しく番組制作する費用を考えると、キー局から提供されるコンテンツの方が安いということもあるのでそれに乗っかっていた方が楽なこともあってこういう図式が成り立つ

(*2)アメリカの場合に制作会社に相当するのがハリウッドのようで、そこでは制作した番組をテレビ放送後に、海外に輸出したりDVD化したりなどという多様なチャネルを活用して莫大な収入を得て規模が大きくなり、結果として1990年代に入ってディズニーがABCを買収したように制作会社の方が優位になる状況になった。