40歳からのキャリアチェンジ

20代はエンジニア・PM、30代はWeb系エンジニア向けのキャリアアドバイザー。40代の今はフリーランスで開発含めて色々やってます。技術ネタとしてはRuby/RailsとJavaScript関連あたり

ビッグイシュー突破する人びと




この前読み終わった現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 の関連書籍というわけではないのですが、たまたま図書館のオススメコーナーに置いてあったので、借りたビッグイシュー突破する人びと―社会的企業としての挑戦ですが、ビッグイシュー自体は、前の会社の近くで販売しているのを見かけたことがあったので、存在自体は一応知っていたのですが、それがどのようにして成り立っているのかは、正直この本を読むまでは知らなかったのですが、元々はロンドンで誕生したものらしく、1991年に当時社会問題化していたホームレスの問題について、ビジネスの手法で解決するために一事業家によって作られたものだそうで、メル・ヤングという人物が創刊したそうです。

ただ、最初からメル・ヤングが日本語の創刊に関わっていたというのではなく、社会問題を市民の手で解決する方法を探るようなNPO法人に参画していた水越洋子さんが、たまたま世界中で活躍するソーシャルアントレプレナーの特集記事を見ていたのがきっかけで、単身メルヤングの元に行き、そこで直接話を聞いたことがきっかけで創刊にいたったそうです。

とはいえ、この水越さん自身が過去に本の編集経験があるわけでもなく、周囲の人達の中にも編集経験がある人がいたわけでは無い上に、日本語版のビッグイシュー創刊する頃には時代背景的に、フリーペーパーがかなり浸透していた状況で、ただでさえ一般の雑誌も販売に苦戦している中で、200円程度の価格とはいえ、売れるはずが無いという周囲の声もあり、しかも、当初の予想ではビッグイシューの販売員になりたいというホームレスの方が殺到するという読みがあったそうですが、これももろくも崩れさるという出発時点で数々の不安要素がある状況だったそうです

そんな状況ではあったけど、
私は、実際にロンドンやスコットランドでビッグイシューが成功している光景を見ていたので、ゴールのイメージがあったんですね。(P.50より)
というのが水越さんの中にはあったそうで、創刊号の発売の日に540冊売れて数こそすくないけれど興味を持つ人がそれなりにいたそうで、1ヶ月もたたないうちに、販売数が1万冊を突破し、売れるということがわかってからは、販売員になりたいというホームレスの人も増えていったそうです。

当初は、売れるはずが無いと言われていたビッグイシューが売れた要因と思われる箇所をちょっと引用すると
他のメディアでは見過ごされがちな問題への情報提供メディアとして一定の評価を受け、期待もされているようだ。これらは、編集部が意図している、若者に向けた「社会問題」や「エッジ」といった「ビッグイシューらしさ」が少なからず受け入れられている、と見ることができる。(P.175より)
という辺りなのかなと思うのと、実際の読者層もやはり20-30代の若者からの意見がおおいそうです(ただ最近は少し読者層に変化が生じているそうですkwど)

こういったコンテンツ自体の良さもあるのでしょうけど、実際にそれが全てではないようで、購入する人と、販売する人との間でちょっとした触れ合いみたいなものも少なからず要員がありそうで
実際、読者の多くはビッグイシューを購入する際、意中の販売員から買う。(p.207より)
ということで、通勤/通学の途中でちょっとした会話をかわす程度のコミュニケーションをかわすことを人が求めている証なんでしょうかね。

本書の中心となる部分の販売員と、ビッグイシューの創刊に関わった水越さんや佐野さんといった、販売数の人を支える人との間の関係みたいなものがきちんと書かれているのですが、その部分については、実際に本書を読んでもらった方がよいのかと思ったので、興味ある人はぜひ買ってみてはどうでしょうか。

ビッグイシュー突破する人びと―社会的企業としての挑戦



稗田 和博
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おすすめ度の平均: 4.5

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