ランニング関係の話題が、我が家のブームになっていますが、会社の同僚からハードル選手として有名な為末選手が書いた日本人の足を速くする (新潮新書 213)を借りて、ちょっと緩めな本を読みたかったのですぐに読み終わって感じたのは、あれだけの結果を出しているだけあって色々と頭を使っているなぁというのが正直な感想。
1つ例にすると、2005年の8月のヘルシンキでの世界陸上を終えてからの約500日間もの間、ハードル選手なのに、ハードルの練習を行わなかったそうなのですが、狙いが3つあったそうで
1.スピード強化
2.精神的落差
3.忘却効果
1.は言葉そのままなので、説明不要だと思うのですが、2.は何かというと、自分の狙っているレースに向けてピークに持っていくために、一度完全にリラックス状態にもっていき、その後極限まで張りつめた状態にもっていけることを狙っているそうです。
個人的には最後の3.の忘却効果というのが興味深いなぁと感じたので、どんなことなのかを本書から抜粋すると
継続的に技術を刷り込ませた事柄から一定期間離れ、その後で取り組み直すと、余計なものが省かれてアプローチがシンプルになり、以前よりもよくなる、という効果です。(P.145より)
本書でも書かれていたのですが、元々為末選手は、ハードルを跳ぶということについては、最初から自分のイメージができていたそうで、この部分についてはほとんどもう手を尽くしたというのが自分であったために、他に改善できる所を自分なりに探した結果みたいですが、とはいえ、これだけ思い切ったことができた秘訣はずばり
現状維持でいいのなら、そんな冒険をすることはありません。しかし、私が望んでいるのは現状維持ではなく、「昨日より速い自分」なのです。(P.146より)とあり、特定のレース(大阪の世界陸上と北京オリンピック)で勝つための取り組みのようです。
残念ながら、世界陸上の結果は芳しくなく、最初の1つめで足をひっかけてしまったそうですが、この本を読み終えてこのレース展開を見ると、予想しないようなことが最初に起こってしまったみたいですね。
というのも、元々為末選手は、最初からトップスピードに乗って途中まではそれを維持して最後は失速するけどなんとか勝つというようなレース展開をするために、400mハードルの場合最初のハードルまで21歩、そこから5つ目までが13歩、6つ目と7つ目の間が14歩、ラスト10台目までが15歩...と一定の歩幅になるような足運びをする戦略をしてきたようなので、最初のハードルに足をひっかけるとなると、その後立て直すのがかなり難しかったのでしょうね。 次の北京では、自分の思ったような展開でレースが進めばきっと良い結果が出るでしょうから、がんばってほしいですね