TitaniumMobile勉強記

Web系エンジニア向けのキャリアアドバイザーやってましたが現在はフリーランスで開発含めて色々やってます。技術ネタとしてはRuby/RailsとJavaScript関連(Node.js、Titanium)あたり

そうだ、葉っぱを売ろう!



山に生えている落ち葉を拾ってきて、それを市場を通じて高級料亭やお寿司やさんなどに販売するというユニークな取り組みをされている徳島県の上勝町という所のお話は、テレビ等で何度か取材されて取り上げられているので、知っている人はいるんじゃないかと思います。

ただ、なんで落ち葉を売るというビジネスに至ったのかという過程や、それを取り巻く人達がどのような方なのかというすこし突っ込んだ部分についてちょっと興味があったので、そうだ、葉っぱを売ろう! をやっとこの前図書館で借りられたので、速攻で読み終えました。

この話の舞台の徳島県で、1981年の2月に、当時の主要作物であった、みかんの木の樹液が出始めた頃に記録的な大寒波がやってきて、最低気温マイナス12度(平年は2月の最低気温は1.6度)という状況の中で、運悪くみかんの木は凍り付き、結果枯死しまうという危機的な状況に陥ったために、みかんの代替作物を緊急に必要になったということのようでした。

ただ、この時すぐに、葉っぱを売るということに至ったわけではなく、まず最初にワケギやほうれん草といったものから手をつけて、その後は、季節にそれほど影響をうけない椎茸栽培も始めていき、なんとか収入は安定していったそうです。

とはいえ、この椎茸栽培にもちょっとした問題(栽培に必要な原木が重く、どうしても栽培に関われる人は若い人に限られるという状況)を抱えていたのですが、それ以上に著者の方がこの町に来てからずっと問題だと思っていたことがあって、以前から町の人達は暇を持て余していて、ひどい時には朝から酒を飲んで、世間に対する不平、不満を延々とお互い話し合っているという状況をなんとか打破せねばという強い気持ちをずっと持ちつづけていたそうです。

そうそう、話が前後しますが、著者の方は、上勝町の出身ではなく、大学卒業後、農協の営農指導員という立場で町に赴任することになったので、町の人からしてみれば、余所者になります。

で、話を戻すと、外部から来た人間ではあるが、この町の状況を打破するには、そもそも暇を持て余している状況がいけないと感じ、お年寄りでも出来るよな仕事がないかとずっと考えていたそうで、そんな時に、たまたま出張先で立ち寄った寿司やさんで、女性のお客さんが出てきた料理に添えてあった赤いモミジの葉っぱを見て、

「かわいいー」

と発した一言がきっかけで、葉っぱを売ろう!と思いつき、そのお店のご主人に
「こ、この葉っぱは、どこから仕入れるんですか」
「葉っぱ?ああ、こういうつまものは、料理人が山へ行って、採ってくるんですよ」
(P.53より)
ということで、料理人がわざわざ山に行って採りにいっている状況で、市場にも卸しているところは、まだどこにもないということがわかって、葉っぱを売ることを決意したそうです。

とはいえ、まだどこの市場でも扱っていないものである以上に、実際に料理人がどのような葉っぱを欲しいのかという情報は、料理人に聞いてもそう簡単には教えてくれるものではないらしく、著者の方は自腹で毎月のように高級料亭にお客さんとして通って、その熱意が伝わったのか、料亭の調理場にも案内されるようになり、そこからどのようなものが求められているのかをだんだんと知るようになったそうです。

ちょっとした事情で一時期、この町の仕事を辞めることを決意する事件があったのですが、
「色々と事じょうもあると思いますが、上勝町から離れられら暗やみです。無理はわかっています」
「やめないでください」
「考えなをしてください」
「どうぞお願いします」
(P.117より一部抜粋)
という葉っぱを売るという商売に関わっていた町の人177人からの嘆願書を受け取り、著書の方も
これほどまでに気持ちをこめた言葉をかけてもらい、それまでの人生では感じたことがなかったほどのありがたさと感動で言葉を失い、その場に立ちつくし続けた。
(P117-118より)
ということで、周囲の気持ちに加えて、ちょっとした事情も町長さんをはじめとした周りの人の助けもあり解決するのですが、このようなソフトの部分が備わっていて、はじめて、”システム”と”商品”がきちんと売り物として通用するが、このソフトの部分はすぐに手に入るようなものではないのかと思います。

本書の最初の方に書かれていた内容を少し引用すると
「彩」事業を、”システム”と、葉っぱを”商品”とだけ見ていては、このビジネスの勘どころは押さえられないとも言える。同じ”システム”と”商品”をそろえて始めただけでは、成り立つものではないからだ。
(P.4より)
とあるのですが、本書を読み終えてたしかに、この言葉の意味する所はその通りなのと、著者の方がいう勘どころは、著者自身の人間力がかなり大きな比重をしめているように思うし、特に上記の嘆願書の件りのあたりは、著者の人間性に惹かれた人達の温かさみたいなものが感じられ、正直泣いてしまいました。

こういう人が世の中にいるというのを知れて、ちょっと勇気づけられるし、ニューズウィーク日本版の「世界を変える社会起業家100人」に選ばれているそうですが、たしかにそれは納得かも。

そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生



横石 知二
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