新聞社―破綻したビジネスモデル
を読みましたが、タイトルを控えるのをわすれましたが、以前読んだ本で、新聞はビジネスとして今後かなり危機的というようなことを読んだことがあったのですが、その理解をもう一歩すすめてくれる内容かなぁと思います。
現在新聞の置かれている状況がどうなっているのかというと、広告収入が激減しているそうで
広告主が、予算を新聞広告から折込チラシやテレビスポットに移してしまい、「広告が取れない」というより「広告が(よそに)引っ越してしまった」のです。(p.35より)という状況です。
「まず部数ありき」という感じで、収益という部分については意識の有無に関わらず二の次という感じらしく、
各産業、あるいは会社別の決算、経営状態に多くの紙面を割く新聞が、自社と同業他社の決算となると、ほとんど報道しない。ということで正確な数字がわからないそうですが
〜中略〜
新聞社は、私の知る限りすべて非上場。資本金も10億円を超えるのはわずか4社で、ほとんどの社が財務省への有価証券報告書を提出する義務もなければ、公表する義務もない。(p.39より)
産業としてとらえた概数ですから、各社別に見ればバラつきがあります。それにしても販売経費率が40〜50%強とは、相当なコスト高体質です。(P.19より)とあるように、あまり良い状況ではないみたいです。
今後のありかたについては、最後に記載があり
「事件や役所の発表は通信社にまかせればいい。その要員とコストを独自の取材にあてたら」というのが私の主張でした(P.180より)ということで、単に事件や事故を伝える記事については、共同通信を利用して、もっと掘り下げた解説のような記事に記者を配置し、それが新聞に求められていることではと書かれていましたし、これは個人的にも共感できます。
実際、ふだん自分が新聞読む時って、独自の視点で書かれた記事のほうに目がとまるし、事件や事故の報道については、わざわざ新聞で情報を得ようとは思わないしね。自分の実感と近いことがちょっと書かれていたので引用すると
関西の大学院生数人が1週間ほど毎日新聞のメディア局に研修に来た。ということで、こういう意識を持った人が読者にいるというのを前提とした紙面作りをしてみると新聞もかわってくるのかもしれないですし、
〜中略〜
新聞は”発見メディア”だということ。ページをめくっていくと、予期せぬ発見がある。「なるほど」と思うニュースにも出会う。それに比べてインターネットは”検索メディア”、関心のあることをより深く調べられる(P.207より)
海外メディアの報道に、「朝日新聞によると」とか、「読売新聞が伝えた」という引用や転載は極めて少ない。日本の新聞が、「ニューヨークタイムズがどう書いたか」をやたらと気にするのと対照的です。(p.213より)という状況も変わるかもしれないですしね。