少し前になりますが、東洋経済で、「北欧」はここまでやる。 格差なき成長は可能だ!
という特集が組まれていて、北欧各国の取り組みについての紹介があり、もうちょっと深く知りたくなって、関連する本がないか図書館で探して、以下の本に出会いました。
ケンジステファンスズキ
合同出版 (2006/02)
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本書のタイトルにある自然エネルギーですが、オイルショックで自国のエネルギー危機という状況に直面して、エネルギー資源を国外に頼らないようにするために風力発電に活路を見出し、海の上に、風力発電機をまとめて設置した洋上ウィンドファームというものを構築していくことになったそうです。
自然まかせな風力発電では供給が不安定になるかもしれず、補完的な位置づけのエネルギー源が必要になり、それが家畜糞尿などを利用した、バイオマスエネルギーになるようですが、バイオマスの導入については、他の課題解決という側面も持っているそうです。
どういうことかというと、デンマークの国土の特徴として、山や大きな川が無いために、「水」を地下水を頼らないといけない状況にあるため、大気と水を汚染させるというのは、国民の健康を脅かすことにつながり、特に国土の半分以上を占める農地に対してはかなり規制が厳しいようですが、そこで、家畜糞尿が地下水の汚染にかなり影響があるために、この家畜糞尿の有効利用として、プラントを構築してそこから出るガスを有効利用するバイオマスという流れになったそうです。
そうそう、家畜糞尿につなげて1つ興味深いデータを紹介すると、デンマークも日本同様に農業従事者は減少傾向にあるそうで1970年に、約13万あった農家戸数、20万人いる農業人口それぞれ、三分の一程度に減少している中で、食料自給率は、牛、豚、鶏などの動物性タンパク質だけで約300%確保している、「農業輸出大国」とのこと。
国内外の状況に合わせて常に機械化と合理化、農業従事者の教育を通じて農業経営の改善をはかってきた、一貫した農業政策の存在がうかがえます。という記述にある、機械化、合理化も風力やバイオマスを利用したエネルギー源を国外に頼らないために、安価に供給できる体勢が整ったからこそこそ、実現できたのかなぁと思います。
デンマークという国 自然エネルギー先進国 P.25より
ちなみに、
日本の供給電圧は世界の中でも最も低く、電気料金は世界中で最も高額です。デンマークやドイツでは一般家庭に配電している電圧は400ボルトですが、日本は100ボルトであるため、農産加工機械のように高電圧を必要とする電動モーターが使用できないこと、使えたとしても高い電気料金を支払うため、その分生産者価格が高くなります。ということで著者の方も、日本農業の問題の背景に、この電力問題が大きいと述べています。
デンマークという国 自然エネルギー先進国 P.218より
単純に国の規模が異なるのでそのまま比較することは出来ないと著者の方も書かれていますが、とはいえ、県や道州レベルという規模で考えると、北欧での取り組みというのは参考になるし、知っておいても損は無いかなぁって感じました。