40歳からのキャリアチェンジ

20代はエンジニア・PM、30代はWeb系エンジニア向けのキャリアアドバイザー。40代の今はフリーランスで開発含めて色々やってます。技術ネタとしてはRuby/RailsとJavaScript関連あたり

数学で犯罪を解決する

最近、図書館で予約している本の順番がなかなかまわってこないので、前から読みたいなぁーと思っていた本を、本屋さんでチェックしているついでに、たまたま見かけて、「数学で犯罪を解決する」というタイトルに引かれて購入してしまいました。

本書は、スカパーで放映している(していた?)アメリカのテレビドラマシリーズのNUMB3RSという刑事ものの番組内で、数学的技法が巧みに使われているという部分に着目をして、毎回のエピソード毎にどのような数学的技法が使われているのかを解説しているのですが、別にこのドラマの事を知らなかったとしても、十分に理解できるのと、このドラマを見た事がある人ならば、より深くドラマの事を知れるのではという感じの内容で、最近数学の面白さに目覚めつつある自分にとってかなり知的好奇心を満たしてくれました。

本書で取り上げられている事件の例として


  • 集団暴行の主犯格となる容疑者の特定をする際に、ヘリコプターを使って上空から撮影していた解像度の粗い画像を、「画像エンハンス」という、数学的な処理を施して再計算した拡大画像を生成し、その容疑者の特徴となるタトゥーの認識につながった


  • 連続して発生していた事件について、「地理的プロファイリング」を使い、容疑者が住んでいるエリアをある程度絞ることで犯罪解決に至る



というような感じになのですが、私は数学は高校まで習っていた程度のレベルしかないので、途中に出てくる数式自体は正直わからないけれど、その数式の根拠となるロジックについては、比較的わかりやすく書かれており、何よりも
科学的根拠を他のアプローチと組み合わせて問題を解決するというのは、まさに現実世界で起きていることだ。あらゆる科学、技術、医療、現代農業その他生活であてにしているほぼすべてのものをもたらしたのはそうした組み合わせだ。
数学で犯罪を解決する P.307より
と、数学が犯罪の解決だけではなく、それ以外の学問分野と組み合わせて実生活で役に立っているというのは、ここ1,2年で数学関連の本を読むようになってきて、実感としてわかるようになってきました。

ただ、こういう数学的アプローチが役に立つとわかっていても、すぐには受け入れられないことっていうのもあるかなぁと思い、特にリスク評価という部分についてが、その代表かなぁと思います。

関連する所を1つ引用しておくと
人間はある種のリスク評価はうまい ー 大ざっぱにいうとおなじみの状況と結びついていた個人的なリスクである。
だがその他のリスク、特に目新しい事象のリスク評価はものすごくヘタだ。
数学で犯罪を解決する p.114より
と、この部分は、サイトプロファイラーというベイズ理論という未来予測の数学モデルをベースとしたソフトウェアが、9.11を事前に予測していたにもかかわらず、実際に事件を防ぎきれなかったということが書かれており、ソフト上では起こりうると表示されていたとしても、人間にとってこういう目新しいリスクを信じるというのは、とても勇気がいることで、結局その勇気を持てず、結果的に不幸なことが生じてしまうということなのでしょうかね。

数学で犯罪を解決する
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