枯れた技術の水平思考で今後のキャリアを考える
任天堂 “驚き”を生む方程式を読み終えて、任天堂ってやっぱり「京都らしい」企業なんだなぁというのを感じたのが素朴な感想。
以前に京都花街の経営学という書評をまとめた時に
各自が京都花街とはどのようなものなのかという”空気”を読みつつ独自の営業を行い、それが成功すれば、他者もその成功を見習って取り入れていき、それが地域全体に浸透する
ということを書いたけど、京都にある企業全体にあるのかもしれないけど、その「企業らしさ」とか本書でも取り上げられていた「任天堂という企業のDNA」というある種独特の”空気”をまとっていて、その”空気”というのを考えた場合にマッチするのかどうかということをとても大切にしているのかなと思います。
任天堂らしさという意味では、本書でキーワード的に書かれていたソフト体質でありその土台を作った方のは、本書を読み終えて自分が感じたのは「枯れた技術の水平思考」という言葉で有名な横井軍平さんなのかなと思います。
CPUがxxビット化になって、リアルな映像が実現・・という感じでハードの性能がクローズアップされるような風潮にあるなかで、そもそものゲームというか娯楽の本質というのは何なのかというのを考えていた横井さんがいて、その考えに(おそらくは)影響を受けた人とか、同じ発想の持ち主がいたからこそ、一時期苦境に陥った時期があっても上手く乗り越えたのかなと思います。
ふとこの本を読み終えて、こういう「枯れた技術の水平思考」というのは転職における仕事選びにも参考になるのかなと感じました。
どういうことか自分のこれまでの経歴に置き換えて説明してみます。
IT技術者として一定の経験を積んできて、技術的にはそこそこスキルがあるけど最先端を行っている人は、もっと高度なスキルを習得しており、そういう方と比較すると、正直見劣りする状態でした。
ここでいうスキルというのを上記のゲームにおきかえれば、「CPUの性能が過去のxx倍」「これまで以上に繊細なグラフィックスを実現」みたいなハードのような所での戦いをいどむようなことかなと思います。
当時の自分は別に今ほど深く考えていなかったのですが、ちょっとしたことがきっかけで、今のような技術者専門のキャリアコンサルタントっていう職業を目指すようになったのですが、自分が経験したIT技術者としての経験、スキルをうまく「水平思考」出来たから今のような仕事ができるようになったのかなと。とはいっても成り行きでこうなったというのも実際あるんですけどね(笑)
この水平思考した結果どうなったかというと、人材ビジネスのエージェント/コンサルタントの中で「L2からL7までのネットワークについてそこそこわかって、コードも書ける人材」ってたぶんほとんどいないと思いますし、転職希望者、仕事探しをしている技術者の方と話していても、
「えーなんでそんなことまで分かるんですか?」
という良い意味での驚きを提供出来ているかなと思っています。
この本をよむことで、すぐにこういう「枯れた技術の水平思考」が身につく程簡単なものではないのは事実あると思いますが、ある仕事をそれなりに経験してきて、今後になんとなく不安を感じている人には、ゲーム業界でいう所のハードの性能の優劣を競うような上を目指す戦いという選択肢だけではないっていうことを日頃から意識しておいても良いのかなと改めて感じました。